菜根譚12「山河大地も」の原文・現代語訳
菜根譚12「山河大地も」の原文・現代語訳を記載します。原文 | 現代語訳 |
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山河大地、已屬塵、而況塵中之塵。血身軀、且歸影、而況影外之影。非上上智、無了了心。 | 山河大地も、已に一微塵に属す、而るを況んや二塵中の塵をや。三血肉身軀も、且つ四影に帰す、而るを況んや五影外の影をや。六上々の智にあらざれば、七了々の心なし。 |
菜根譚12「山河大地も」に出てくる言葉の意味
- 微塵こなみじん。仏教の四劫思想で、この世界は成・住・壊・空の四劫を経て終始し、現在は住劫の期であるが、次の壊劫では遂に大火・大水・大風が起こって、すべての物を微塵にし、空劫に入るという。
- 塵中の塵微塵の中の微塵。すべての生物を指す。
- 血肉身軀血肉を持つ身体。人間の肉体。
- 影水のあわと物の影。消えやすく、はかないもので、諸法の仮幻に例える。金剛経に「一切の有為の法は、夢幻影の如く、露の如くまた雷の如し。まさに是の如きの観をなすべし」(正宗分)とある。
- 影外の影人間の肉体は影であるが、影そのまた影。功名富貴の類をさす。
- 上々の智最上の知恵。
- 了了の心よく悟った心。「了」は明らか。
菜根譚12「山河大地も」解説
山河や大地も、いずれは壊れて微塵になるものである。まして人間は微塵の中の微塵で、壊れることはいうまでもない。この人間の肉体は、もともと、水のあわや物の影のように消えやすくはかないものである。ましてこの影である肉体のまた影である功名富貴の類の、はかないことはいうまでもない。そこで最上の知恵を持っていないと、なかなか悟った心にはなれない。菜根譚後集(名言・要約)
菜根譚1 山林の楽しみを談ずる者は菜根譚2 水に釣るは逸事なり菜根譚3 鶯花茂くして菜根譚4 歳月は本長くして菜根譚5 趣を得るは多きに在らず菜根譚6 静夜の鐘声を聴いては菜根譚7 鳥語虫声も菜根譚8 人は有字の書を読むを解して菜根譚9 心に物欲なければ菜根譚10 賓朋雲集し菜根譚11 個中の趣を会し得れば菜根譚12 山河大地も菜根譚13 石火光中に、長を争い菜根譚14 寒燈焔なく菜根譚15 人肯て当下に体せば菜根譚16 冷より熱を視て菜根譚17 富貴を浮雲にするの風ありて
【菜根譚】今日の名言